2012年6月16日土曜日

Paris

仕事行程は昨晩で終わり、今日はパリでオフ。



でも真面目なので、パリでも著名なワイン屋、チーズ屋、パン屋なんかは視察。嘘、単にサイトシーイングに殆ど興味がないだけ。






20時から、同僚の在仏16年の友人にアレンジしてもらい、呑み会。




いやぁ、しこたま呑んだ。シャンパンから始まり、変態的酸性人の同僚のチョイスで最終はフリューリーに終わり、結局4人4本(私だけ1人で2本分)。今回の行程で飲み倒してきた様な美酒で、幾らのんでも酔わない(酔えない)「飲み」も良いけれど、やっぱり私はこうやって酔って楽しむ呑みが良い。

わざわざフランスまで来て、一般人の回れないワイナリーを訪問して、結局いきついた結論はそういうことであったのである。

2012年6月15日金曜日

chateau Margaux des chateau Margaux

今日も、超過密。

先ず午前はボルドー南下して、ソーテルヌ村へ。CHギロー。モーニング・ソーテルヌ…呑めるかいな…と若干気乗りせずスタート。

昨日までとは打って変わって良い天気。やっぱりヨーロッパの6月の空はこの色じゃないと。


ソーテルヌ村ではイケムの110haに次ぐ100haの最大生産者。1級。SBの比率が35%と高いのがここの特徴だ。醸造施設は昨日までのメドックのグランCHに比して、シンプルでより農家的な雰囲気が漂う。メドックでは苗木1本から凡そ1本のワインが出来るが、ここソーテルヌでは1本で1杯。低収量ぶりがよく判る。

テイスティング開始。お、有難いことにヴァーティカル(垂直)だ。流石気前良し。
AC BXのG2011PRMを皮切りに09・05・98!




今日の行程考えて、98以外は一杯嚥下する以外は全部スピトーンに…なんて思っていたが、止めた。否、ギローが手招きするのである。気づけば朝からグラス4杯の白ワインを。なんせ、ヴァーティカルのギローが素晴らしいVTセレクトなので、順に05から始まって98へ向け、一つの物語を紡いでいるかの如し。
上質な砂糖が、経時と言う加工工程を経て、紅茶付きのお菓子に変貌していく様。

すっかりご機嫌で、今度は一気にグラーヴはペサック・レオニャンへ。
はい、マニア垂涎のスミス・オー・ラフィット。テンション上げすぎて、ディテールばっかり撮影して肝心の、CH外観取り忘れ。合掌多謝。





軽く、カーブを見学し…


ライムストーンとフリントストーンのスミスの畑の地層断面が地下のカーブの一角で見られるようになっている。


地上に戻って、早速テイスティング。


3rdのカントリス、1stのスミス。11年PRMをテイスティング。


参考で、2ndのプティ・オー・ラフィット も。これは09。やっぱり11年はあくまで仕事として試飲。09だけ飲み干す。美味いよこれ。


テイスティング終わった当りで、オーナーのカティアール夫妻が合流。インヴィテーションランチに行く前に、テイスティングルームの地下のオールドボトルカーヴを見せていただく。


こんな博物館所有的なものも。


さて、ランチ。


昨日までの赤銘醸地巡りで、白を渇望していたのでスミスのランチは楽しみにしていたのだ。
先ずカントリスの白。そして、スミスの白。赤に関してはJr氏の100点の着いた09の白だ。98点。まだまだ今呑むに適したものではないが、圧倒的なミネラリティ。


続いて、カントリスの赤・スミスの赤。酷いな、こんな素晴らしいワインのVT失念するなんて。いや、横に座った広報ダイレクターのORNON氏と私の共通のフランスの友人ですっかり意気投合してしまったから…やなくて、呑みすぎか。
そんで、トリは90のスミス赤MG。カティエール氏がスミスを購入した始めての年のMG。もうCHにも10本しか残っていないという貴重品だ。顕著な煙草の香り。そして長い余韻、甘く甘い。



何しか横の氏とすっかり意気投合して、UGCの前にもしかすると時間作れるかも知れんと宣ふので、「そしたら天満で日本酒ね」と約束してランチ散会。

さぁ、時間押してるぞー走れ走れ。走って、ボルドー最大のネゴシアンGINESTET訪問。
樽やら、倉庫管理を拝見。そのあと、20本ほどプティCHをテイストして…次に走る。



遠巻きに領地に入ることすら出来ない観光客がうようよ居る。のを尻目に開かずの黒金の門が…開いた。
Thank you for your coming to Chateau Margaux.

お出迎えはあの、ポール・ポンタリエ氏直々に。


エチケットでしか見たことの無いマルゴーの館だ。一歩近づくごと、鼓動が高鳴る感じ。


そしてそのまま、あろうことかポンタリエ氏が自らワイナリーを案内。あり得ない…




ステンレスVATの前でテイスティング。パヴィヨン11年PRM、マルゴー11年PRMから始まり、まさかのマルゴー09まで。ポンタリエさん自身がCHマルゴー史上最高の出来と太鼓判のそれ。
もうこれね、マルゴーに来るまで11年PRMはニュアンスを取るのが難しいし呑んで純粋には美味しいとは言えないので、スピトーン行きだったが、ここでは全部嚥下しましたさ。高価だから、とかそんなつまらない理由やありません。単純に11年呑んでも(パヴィヨン)マルゴーと分かるからである。
そして、09に至っては暫し、全ての音が消えてしまったような錯覚に陥る。ひたひたと迫る静寂に身をやつし。




さて、ここからが今回の行程の最大の目的である。マルゴーによるインヴィテーション・ディナー。
しかも、よく見て!なんとカーブ内で特設長机設けてのディナーだ。マルゴー史上初の試み。セラー視察から戻ってくると、純白スーツのムッシュがパヴィヨン・ブラン08でお出迎え。


白は屋外で呑みたいよ、ということで。館の裏の庭へ。
マルゴーの表はボトルの表でも見れるけれど、ボトルを裏返してもマルゴーの裏側は見えない。
これが裏側。


白亜の館を望みつつ、ポンタリエ氏と談笑しつつ戴くパヴィヨン・ブランはもう筆舌に尽くしがたし。


さて、もどってディナー開始。


オマール海老に始まり、MGの08パヴィヨン・ブラン。



続いて、パヴィヨン・ルージュの04・08同時に。


鳩肉と。


これだけ豪華で惜しげもないのに、あれ?パヴィヨン?マルゴーは?と思ってはいけない。その理由がこれだ。
Chateau Margaux 1985。


 てっきり液色はオレンジを呈し、土やトリュフなどの熟成が出ているかと思いきや、驚愕するしかないのだが、液色に褐色や橙色はほとんど(否、全く)見られず、まだまだフレッシュなベリーを感じ、何故か緑の葉まで連想させる。私は5月の緑道を歩いているイメージがぴったりきた。30年近い熟成を経て尚この生命力、溢れんばかりの若々しさ、何なんだこれ?

時間を置くにつれ、最初に感じた緑道のニュアンスは薄れていき、徐々にニュアンスが「完全な球体」に近づいていく。そう、先日ルフレーヴのシュヴァリエMで経験した「球体現象」だ。今回は球体を傍観しているのではなく、私自身が球体に包まれていく感じ。あまり、「球体」だうんだの興奮して書いていると、もはや酒の記録でなく「Xファイル」になってきたので、コメントはここにて打ち切り。

そして宴の後。

ポンタリエ氏に手を振られマルゴーを後にする。

今宵は一生忘れることの無い一夜になったのであった。